「マンション1階は空き巣が多いから一人暮らしは不安」「アパート1階は女性にとって危険すぎる」。賃貸物件を探している際、よく耳にする意見ですよね。
一方、1階は2階・高層階よりも家賃が安かったり、ベランダ側の窓に雨戸がついていたりなどのメリットもあります。
本記事では、「本当に賃貸の1階は、2階や高層階と比べて犯罪率が高いの?」「1階に住むことは防犯上、絶対に避けるべき?」というギモンに応えていきます。特に現在1階にお住いの方、これから1階に住む予定の方、そのような方々の家族に読んでもらいたい記事です。
【本記事で注目するポイント】
1. 1階で起きやすいとされる犯罪とその根拠
2. 統計から分かる賃貸物件と犯罪率にまつわる5つの真実
3. 高層階だから安心なわけではない(実例も紹介)
4. みんなの体験談や意見
本記事が、1階に住む予定の方が防犯・セキュリティ意識を高めたうえで、本当に好きな部屋に住む手助けとなれば幸いです。
1階が狙われやすいとされる犯罪の例として、以下の3つのものが挙げられます。
・空き巣
・強盗
・女性を狙った犯罪
これらの犯罪が何故一階で起きやすいとされているのか、ひとつずつ考察していきます。
空き巣とは、留守中の住居を狙って行なわれる窃盗です。その犯行の特性上、部屋の中の人の有無を外から確認する必要があるので、中の様子が見えやすい立地の住宅が空き巣犯に好んで狙われます。
確かにアパート・マンションの一階は、外を歩く通行人でもベランダや窓を通して部屋の中の様子を簡単に確認できる環境にあるので、空き巣犯にとっても絶好の標的になるでしょう。
また、一階のベランダや窓は、人が簡単に登れる高さで、侵入が楽である事も、空き巣に狙われやすいと言われる理由です。
強盗とは、他者から無理やり金品を奪う犯罪行為であり、空き巣とは異なり、部屋の中の人の有無を気にせず押し入って犯行に及びます。
そんな強盗犯がターゲットの住居を選定する際に重視する事は、「どんな人が住んでいるのか?」、「逃走しやすいか?」の2点。
なぜなら、女性や高齢者の一人暮らしを狙えば力で押さえつけるのが楽になり、それに加え、万が一に備え逃走しやすいお部屋を選んでおけば、成功率がぐっと上がるからです。
では、一階のお部屋は強盗にとってどうなのでしょうか?
一階のお部屋は、部屋の中や洗濯物が外から見えるので、どのような人物が住んでいるのか調べやすい。また、高層階のように階段やエレベーターを使く必要がないので、逃走時間も短く済みます。
以上の事から、一階が強盗に狙われやすいと言われるのも頷けるでしょう。
女性を狙った犯罪には、「下着泥棒」や「強姦」といったものが挙げられます。
空き巣や強盗の項目でも解説したように、一階のお部屋ならば、洗濯物や部屋の様子から女性が住んでいるか簡単に確認できます。また、侵入や逃走が容易です。
このことから、一階の部屋に住む女性がこれらの犯罪に狙われやすいのも腑に落ちるでしょう。
警察庁が公表している犯罪統計から、以下の5つの事実が判明しました。
・アパート・マンション(共同住宅)1階は2階、それ以上の高層階と比べて犯罪率が高いというデータは無い
・共同住宅の1人暮らしは空き巣の対象にされやすい
・最も多い空き巣の共同住宅への侵入経路は窓、次いで表玄関
・窓からの侵入手段はガラス破りか無締まりがほとんど
・表玄関からの侵入手段は無締まりか合鍵がほとんど
ひとつずつ確認していきましょう。
警察庁が公表している犯罪統計には、共同住宅の階数毎のデータは存在しません。つまり、共同住宅の1階住人が他の階の住人に比べて犯罪被害に遭いやすいということを証明する数字はありません。
いちおう4階建て以上の共同住宅と、3階建て以下の共同住宅での10万世帯当たりの犯罪件数のデータがあり、これによると3階建て以下の集合住宅の犯罪件数が4階建て以上の集合住宅の約3倍である事が分かります。
とはいえ、階数が低いと空き巣に狙われやすいとはいえません。一般的に、高層マンションは低層の集合住宅よりも家賃が高い分、オートロックが備え付けてあったり、警備員が常駐していることがあります。
「1階だから・低い階だから」というよりも、防犯設備の有無による差だと考えた方が妥当でしょう。
上の表から、共同住宅での空き巣被害は単独世帯が最も多く、夫婦のみの世帯と比べて2倍もの差があります。これにより一人暮らしの部屋は空き巣に狙われやすい事が分かります。
また、忍びこみ(在宅時に行われる窃盗)件数も一人暮らしの世帯が最も多く、一般的に一人暮らし世帯は泥棒に狙われやいと考えられます。
空き巣の侵入経路は、「窓」と「表玄関」がツートップ。特に3階建て以下の住宅に関しては、「窓からの侵入」がぶっちぎりの一位になります。
4階建て以上の住宅で「表玄関からの侵入」が「窓からの侵入」よりも多い理由としては、以下の2つが考えられます。
1. 一般的に、高層マンションはオートロック設備付き・警備員が常駐しているなど、住民にとって安心感が強く、心の油断からドアを施錠しないまま外出してしまう人が多い。
2. 逆に窓(ベランダ)からの侵入はターゲットの住まいが高くなればなるほど、空き巣にとっては危険な試みとなる。
共同住宅を狙う空き巣犯は、窓から侵入する際に、「ガラス破り」をして侵入するケースが最も多いです。その次に多いのが「無締まり」の窓からの侵入で、これら2つが侵入手段の大部分を占めます。
よって、しっかり戸締りをし、防犯フィルムを貼り付けてガラス破りに備えれば、空き巣犯の侵入を阻止することができるでしょう。