被告人は、長男のことについて、被害者Åから電話で呼び出されていました。被告人は、もしAがやってくるようなことあった場合、何らかの形で危害を加えてくるだろうから、それから身を守るために自宅で猟銃を携えていたとのこと。
自宅外から長男の「Aが何かを持って来たぞ」という声を聴いた被告人は、猟銃を持ち戸外へ。その際、被告人は長男が包丁を持ったAと対峙している場面と遭遇します。そこで、長男が襲われるのではと思い、猟銃を撃ち、結果としてAは約一カ月の治療が必要な怪我を負います。
実は、家にやってきたAに対して、先に長男がチェーンを持って殴りかかっていたことが明らかとなりました。ただし、外へ慌てて飛び出たところ目撃した様子から、包丁を持つAに長男が襲われていると勘違いしてしまうことは認められると判断。結果、殺人未遂罪で誤想過剰防衛が認められました。
【罪】:殺人未遂罪
【刑】: 確認出来ませんでした
【参考】: 最高裁昭和41年7月7日決定
状況にもよりますが、違法な権利侵害行為から権利を守るための行為だとしても、やり過ぎはいけませんということです。ただし、その「やり過ぎ」や「危機が迫っていると勘違い」の正当性などは、全て客観的に判断されます。
自身や身の回りの方の権利(命や体、財産)が優先であることは間違いありませんが、それに乗じて他人を不必要なまでに攻撃してはいけません。あくまで、守るための行為に徹しましょう!