ネットで調べる限りでは、日本において護身のために使用したスタンガンが原因で起きた事故はほとんどないようです。
ただし、本来は身を守るために使われるべきスタンガンが悪用された事件がいくつか存在します。いくつかの事件を例として内容を解説していきます。
本記事が、護身用スタンガンの購入や、お家のセキュリティ強化を検討している人の助けとなれば幸いです。
2004年に、生後3カ月しか経っていない、赤ん坊の長女にスタンガンを当てたとして、その父親である40代の男が逮捕され実刑判決を言い渡されました。
スタンガンを所持していた理由として、親戚の会社が倒産したことで取立人が訪れてくるようになったため持っていた、と語っています。スタンガンはあくまで護身用として使われるものであり、無抵抗の子供へ対して使用した本件はひどい悪用です。
2009年に、職務質問のため警官が男性に声をかけた際、スタンガンで攻撃されるという事件が起きました。
群馬県のパチンコ店駐車場で、盗難車として手配されていたナンバープレートを持つ車を発見した警官は、その車を盗難したと思われる容疑者が車に戻ってくるのを待つため張り込んでいました。
容疑者と思われる男性がその車へ接近したため、警官が声をかけたところ、男性は警官の手にスタンガンを押し当てたとのこと。その男性はすぐに別の警官たちにより取り押さえられ、そのまま逮捕されました。
一般的に日本で護身用のスタンガンと知られているものは、上の画像のように手に持って、電撃を発生する部位を対象者へ当てるモノですよね。電撃と音による威嚇効果もありますが、実際に電撃を与える際は対象者へ接近する必要があります。
一方、テーザー銃はピストルのように引き金を引くと、本体と結びつけるためのワイヤーの付いた針が発射され、針が標的へ刺さったうえで、電気ショックを与えます。遠距離からでも、電気ショックによる標的の行動制限を実現できます。
アメリカでは警備員や警官が装備していることがありすが、使用にあたっては標的へまず警告を行わなければならない、など慎重に扱われています。日本ではその仕組みから銃刀法で銃器として扱われるため、規制されており販売されていません。
なお、テーザー銃という名前の由来はアメリカのTaser Internationalという会社が開発したスタンガンであるから。
テーザー銃による事故はかなり多く報告されています。テーザー銃と拳銃の両方を装備していることもあり、テーザー銃と思って引き金を引いたら拳銃だった、という事故もあります。
2017年ににカナダのバンクーバーにある空港で、ポーランド人のRobert Dziekanskiさんが警官にテーザー銃で撃たれ死亡した事件。
Robertさんはカナダ在住の母親と空港で待ち合わせをしていましたが、行き違いと、また言葉がうまく通じないことから10時間も待たされており、苛立っていました。空港内の椅子を持ち上げるなど興奮状態にあったため4名ほど警察が駆け付けたとのこと。
警官に襲い掛かる素振りも見せていませんでしたが、警官はテーザー銃を撃ち、床に倒れこんだ男性へ向けてさらにテーザー銃を放ちました。
悲鳴を上げながら倒れている男性を警察が取り押さえましたが、その後男性はぐったりと動かなくなり、死亡してしまったとのこと。
現場に居合わせた旅行者がその様子を撮影した動画がYouTubeにもアップされています。
韓国では慶尚南道咸陽郡という地域で2017年に、44歳の男性が警官にテーザー銃を撃たれた後、異常な反応をしたため救急車で病院へ搬送されましたが、そのまま亡くなってしまいました。
男性は精神疾患を患っており、両親が病院へ入院させようと病院の車両を呼びましたが、その男性が暴れたため警察を呼んだとのこと。男性が鎌を振り回してきたため、テーザー銃を撃ったそうです。
2009年、アメリカカリフォルニア州サンフランシスコの地下鉄駅口内で、白人の鉄道警察官により黒人の青年Oscar Grant(22歳)が銃で撃たれて死亡した事件。
射撃される時点で、オスカー青年は既に手錠をかけられ地面に座り込んだ無抵抗な状態であり、大きな問題となりました。銃を撃った警官は、「テーザー銃と拳銃を間違えた」と証言しているそうですが、そもそも既に無抵抗の対象者へテーザー銃を撃つ必要があったのか?という意見もあります。
ペースメーカーは心臓の取り付けて心臓の収縮をサポートする医療機器。一般的な電子機器(携帯電話など)が発生する電磁波はペースメーカーまで届くことがありますが、必ずしも影響を与えるわけではないことが総務省より発表されています。
とはいえ、100%安全とは言い切れないため、例えばペースメーカを着けている人は空港の保安検査場では金属探知機を用いずに検査を受けるよう案内されることがあるそうです。
ネットで調べてみると、スタンガンの電撃はペースメーカーへ影響を与えないという論文も発見できる一方、アメリカはオレゴン州のボーリングという地域では以下のような事件も起きているそう。
2010年、Phyllis Owensという87歳の老婆が銃に手を伸ばそうとしたところ、警官にテーザー銃を撃たれ、亡くなってしまいました。
Larry Lewman医師によると、検死で彼女が心臓疾患を抱えておりそれが原因で亡くなったこと、ペースメーカーを装着していたことが明らかとなったそうです。
心臓病と埋め込まれていたペースメーカー、そしてスタンガンが直接死を引き起こしたかは特定できていないそうですが、医師は「一般的な健康な人はスタンガンによる電撃で亡くなってしまうことはないので関連性がないとも言い切れないはずだ」と、語っています。
スタンガンは、日本においては護身用としての使うことが一応許可されています。ただし、いざという状況に陥った際、普段使用したことのないスタンガンを上手く扱えるのか、標的を攻撃することに躊躇してしまう間に取り上げられてしまうのでは、といった意見もあります。手放しで、「護身のためなら持つべき!」とも言えませんね。
最も大切なのは、スタンガンを使用しなければならない状況に陥らないようにすることでしょう。お家のセキュリティをしっかりして、不審な人物を近づけないよう取り組みましょう!
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