本記事を作成するにあたって、総務省統計局「人口推計」と警察庁「犯罪統計」を確認したところ、沖縄県の治安・犯罪に関していくつかの事実が明らかとなりました。
それらの事実をまとめると「沖縄県は犯罪の発生件数自体は減少しているが、重要犯罪は減っていないため、治安が良い方向へ進んでいるとはいい難い」といえるでしょう。
まず早速、それらの事実を確認してみましょう。
・2005年から2017年にかけて、犯罪全体の発生件数(正確には認知件数)は減少傾向にある。
・重要犯罪の発生件数に関しては、減少傾向は見られない。むしろ刑法犯全体に対する重要犯の割合は増加しているといえる。
・重要窃盗の発生件数は、刑法犯全体と同様に減少傾向にある。
・2017年は、1万人あたりの刑法犯全体・重要窃盗の件数は日本全国を下回っている。しかし、重要犯罪はわずかに上回っている。
・2017年の1万人あたり犯罪発生件数順位において、刑法犯・重要窃盗についてはそれぞれ26位・32位と47都道府県中、真ん中より下に位置付けた。一方、重要犯罪では11位と上位にランクインした。
次に、これらの事実を裏付けるデータを見ていきます。主に以下の4つに関して、表やグラフを用意しました。
1. 刑法犯の認知件数
2. 重要犯罪の推移
3. 重要窃盗の推移
4. 日本全国と比較
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
表やグラフを見ていく前に、記事のデータの正確性や出典についていくつか確認しておきたい点があります。
・本記事で参照したデータの引用元は、本記事中盤で一覧表示しています。2018年現在、2017年までのデータが公開されています。それらのデータの正確性については、出典元、各機関の公表している情報を参考にしてください。
・人口は、各都市・都道府県の10月1日の人口推計を採用しています。
・犯罪統計では、認知件数と検挙件数が公表されています。認知件数とは、犯罪が警察などの機関によって認知された数のこと。つまり、認知されていない犯罪はカウントされていないということでもあります。本記事では、認知件数を犯罪の数として扱っています。
・検挙件数は、警察が犯罪の被疑者を特定し、捜査した件数のことを言います。逮捕に近いイメージです。検挙件数は、前年の犯罪に係る被疑者を翌年に特定することなどもあり、指標として扱うのが難しいため本記事では特に言及していません。
・本記事作成にあたって、意図的な数値の操作は行っていません(例: 沖縄の治安を悪く見せようとする、良く見せようとする)。しかし、公表されているデータの種類、組み合わせによって数値が実際のものと異なっている可能性もあります。あくまで本記事ライターによる概算として、記事を読んでください。
上のグラフは、沖縄県で起きた犯罪の認知件数を各年毎に表しています。犯罪の認知件数は2005年から2017年にかけて毎年減少していることが分かります。
人口1万人あたりで刑法犯の認知件数を見ても、年を経るにつれて減少していることが分かります。
ちなみに、沖縄県の人口は増加傾向にあることが分かっています。2005年におよそ136万人だった人口は、2017年までの12年間で8万人ほど増加しています。
沖縄県内における重要犯罪の認知件数を見る前に、「重要犯罪」という言葉について解説します。重要犯罪とは、個人の権利を高度に侵害すると考えられている犯罪であり、以下のようなものが含まれています。
・殺人
・強盗
・放火
・強姦
・略取・誘拐
・強制わいせつ
重要犯罪の認知件数は、上の刑法犯全体の認知件数にも含まれています。犯罪全体は減少傾向にありましたが、重要犯罪はどうでしょうか。
重要犯罪は、減少傾向にあるとは言い難いです。
上で紹介した刑法犯全体の認知件数グラフは明らかに右肩下がりでしたが、上のグラフにはそのようなトレンドが確認出来ません。
2010年は120件の重要犯罪が認知されましたが、2017年は127件とそれを上回る数字となっています。