人口1万人あたりで見ても、重要犯罪の認知件数は、少なくとも2010年から2017年にかけては減少しているとはいえません。
次に「重要窃盗」という言葉について解説します。重要犯罪と同様、窃盗犯の中でも被害者の権利を著しく侵害すると考えられている犯罪が重要窃盗となります。具体的には以下の犯罪が重要窃盗として数えられています。
・侵入盗(俗にいう空き巣)
・自動車盗
・ひったくり
・すり
2005年から2017年にかけて、重要窃盗の認知件数は減少傾向にあるといえそうです。
数だけで見ると、2005年には3531件だった重要窃盗は、2017年にはそのおよそ6分の1である630件まで減少。年度間で見ても、毎年前年比減少を記録しています。
人口1万人あたりの重要窃盗認知件数で見ても、年度間で減少し続けていることが分かります。
刑法犯 | 重要犯罪 | 重要窃盗 | |
---|---|---|---|
全国 | 72.2 | 0.86 | 7.1 |
沖縄 | 55.8 | 0.88 | 4.4 |
2017年の、日本全国の1万人あたり各犯罪の認知件数と、沖縄県の1万人あたり各犯罪の認知件数を上の表で並べてみました。
気になる点は、沖縄県は刑法犯・重要窃盗ともに日本全国より認知件数が少ないにも関わらず、重要犯罪の認知件数は、僅かではあるが、日本全国を上回っているということ。
これは、沖縄県は刑法犯全体の中で重要犯罪が占める割合が、日本全国におけるそれよりも大きいということにもなります。
刑法犯 | 重要犯罪 | 重要窃盗 | |
---|---|---|---|
順位 | 26 | 11 | 32 |
上の表は、2017年の47都道府県における各犯罪の人口1万人あたりの認知件数を、件数の多い順に上から順位付けした際の、沖縄県の順位です。
沖縄県は刑法犯・重要窃盗においては、47都道府県の中間以下の順位となっているものの、重要犯罪の認知件数では11番目と高順位につけています。
少なくとも2017年は、沖縄県は日本全国的に見ても、1万人あたりの重要犯罪認知件数が多かったといえそうです。
上の5つの事実とそれを裏付けるデータから、沖縄県全体では犯罪全体の認知件数は少なくなっているが、重要犯罪の認知件数は減っておらず、むしろ犯罪全体における重要犯罪の割合が増えているため、「治安は年々良くなっている」とはいいがたいでしょう。
上で記載した棒グラフや表を作成するために用いたデータ・統計の出典は以下の通りです。
人口推計(総務省統計局)「都道府県,男女別人口-総人口,日本人人口(各年10月1日現在)」
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.html
犯罪統計(警察庁)「平成29年1~12月犯罪統計資料【確定値】訂正版」
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/new_hanzai.htm
犯罪統計(警察庁)「平成28年1~12月犯罪統計資料【確定値】」
https://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/new_hanzai_28.htm
犯罪統計(警察著)「平成27年1~12月犯罪統計資料【確定値】訂正版」
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/new_hanzai_27.htm
犯罪統計(警察庁)「平成22年1~12月犯罪統計【確定値】 訂正版」
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/new_hanzai_22_teiseiyou.htm
犯罪統計(警察庁)「平成17年1月~12月犯罪統計」
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji28/hanzai.html
最後に、沖縄県で実際に起きた事件をいくつか見ていきましょう。2000年以降に起きた以下の9件を紹介します。
・空き巣2件
・不審者4件
・強盗3件
それぞれ詳しく見ていきましょう。